広報ふくさき 令和2年(2020年)6月号 5ページ ---------- 地域の人たちに見守られて 福崎西中学校1年(当時) 宮田理久 「あなたは今、幸せですか?」 とたずねられたら、ぼくは迷わずに、 「幸せです。」 と答えることができる。なぜなら、家族がぼくを大切に思ってくれているからだ。母は、ぼくの体のことを考えて、ぼくが食べ残した野菜を口まで運んでくれる時がある。寝汗でよごれたシーツは、いつの間にかきれいになっている。天気の良い日は、布団がポカポカで暖かい。そんな時ぼくは、家族から愛されているのだと実感することができる。  でも、世の中にはそうではない家族も存在する。これまでも児童虐待のことがニュースで流れたり新聞にのったりしたことが何度もある。最近では、今年一月に千葉県で起きた十歳の少女の虐待事件が深く心に残っている。少女の気持ちを考えただけで胸が押しつぶされそうになる。きっと少女は、勇気をふりしぼってSOSを出していたに違いない。それなのに、誰も少女の命を助けることができなかった。ぼくは、この事件のことを知れば知るほど疑問に思うことが出てきて、頭の中がモヤモヤした。だから、スマホや新聞で色々と調べた。すると、日常的に父親の暴言と少女の泣き声が聞こえていたにも関わらず、 近所からの通報がなかったことや、父親が、 「保護は拉致だ。」 とうったえるのに対し、児童相談所の職員が不安に感じていたことや、母親自身も父親の暴力によって逆らえない状態だったことなどが分かった。だからこそこれからは、児童相談所と弁護士が連けいをとって対応したり、おどしに屈しないように警察に助けを求めたりすることが大切であると書いてあった。でも、それだけで十分であるとは思えない。母親がDVを受けていたことについては、そばに相談できる人がいるのが一番いいのだが、母親は孤立していたようだ。それならば母親の様子から元気がないことに気付いた同 級生の保護者や近所の人たちが声をかけることで、相談できるきっかけになるのではないだろうか。また、児童相談所の職員は、一人で多くの家族の対応をしていると知った。それでは、子どもの話をゆっくりと聞くことができないと思う。もっと職員の人数を増やして、子どもたちからのSOSを受け止められるような環境を創っていくことも大切なことだと思う。  こうやって自分なりに考えてみると、解決策も色々とあることに気付く。そして、ぼくたち一人一人が、周りの出来事に対して無関心でいないことが何より大切であると思う。なぜなら、無関心でいたら「変だな。」と気付いても声がかけられないからだ。虐待は、初めから悪魔の心を持った人間が起こす事件ではないと思う。おそらく、どこの家族でも起こる可能性はあると思う。でも起こらないのは、他人事だと思わずに見守ってくれる人や相談に乗ってくれる人たちが周りにいるからだ。きっと、少女の父親も誰かに止めて ほしかったのではないだろうか。  今ぼくが幸せに暮らしていけるのは、ぼくたち家族を、祖父母や近所の人、学校の先生たちが気にかけてくれているおかげだ。これからも、どうかぼくたちを温かく見守ってほしい。そして、お互いに見守り、時には相談に乗ったりできる温かい人間関係の地域になることを願っています。 ポスター作品 八千種小学校1年(当時) 石原蒼太 田原小学校3年(当時) 竹原琥珀 高岡小学校5年(当時) 森本瑛音 福崎東中学校1年(当時) 岸本怜奈 人権標語 ごめんねが すなおに言えたら ほらえがお  福崎小学校3年(当時)藤本優希 明日もね 会えるといいな その笑顔  田原小学校4年(当時)菅原桜太郎 さしのべて その手を誰かが 待っている  福崎東中学校1年(当時)岡本苺 言葉でね 伝えてうれしい ありがとう  福崎西中学校2年(当時)木村くるみ