広報ふくさき 令和3年(2021年)9月号 6ページ ---------- ヒューマンライツ イン 福崎町 ---------- 戦争 福崎西中学校3年(当時)おおはた れな  中学校二年の三学期、道徳の授業で私たちは沖縄戦について学びました。私は沖縄には明るく楽しい観光地というイメージを強く持っていて、沖縄が戦場となっていたことを知っていただけでした。その日、自分の知らない沖縄の過去を学び、私は今、自分たちが幸せに暮らせている背景に、どのようなことがあったのか、詳しく知っておくべきだと思い、この春の自粛期間中に戦争に関する映画やドラマを観たり、インターネットを使い実際に戦争を体験した方の記事などをたくさん読んだりしました。  映画やドラマを観た中で、特に印象に残ったのはお笑いタレント、明石家さんまさん主演の「さとうきび畑の唄」という作品です。この作品は、沖縄の地上戦の中、懸命に生き抜こうとする家族一人ひとりを描いた物語です。有名な作品でとても考えさせられるので、ぜひ一度みんなにも観てほしいです。  この物語では、戦場に赴いて亡くなった人、餓死した人、自決した人、病気にかかり亡くなった人がたくさんいたことがわかります。ですが、私が一番辛く思ったのは、味方なのに、考えに背いただけで殺された人がいたということです。作中でも、さんまさん演じるお父さんが、「こんなことをするために生まれてきたのではない」と言ってけがを負っているアメリカ兵を殺すことを拒絶しました。そのために泣きながら味方に銃で撃たれ殺されてしまうシーンがあります。そのお父さんは戦争中でも笑顔を絶やさず、周りを明るくし、人を殺したくないという思いを持っていました。そして、その人柄の良さ故に殺されてしまうのです。観ていて辛く、悲しくて涙が止まりませんでした。  また、私がこの作品を観て、一番強く感じたのは“家族愛”です。戦争の真っただ中、国のために死のうと考えている子どもたちに、生きてほしい、生き抜いてほしい、国のたに死のうなんて思わないでほしいという正直な願いを伝えるシーンにとても感動しました。  当時は、「天皇のために命を捧げることが美徳」と教育されたり、「お国のために死んで来い」とも言われたりしたそうです。今ではこのような考え方はあり得ませんが、当時はこれが当たり前の考えとされていたと思うととても辛いです。つまり、お父さんは国の教えに背いたことを子どもたちに伝えますが、そこから本当の家族愛というものを感じました。教えなんて関係ない、ただ生きてほしいと思う正直な親の愛にぐっときました。  私はこの三年間、主張作文を書くことを通して、戦争について考えてきました。そして大切なのは、今こうして考えて感じたことを、過去にあったものとして思い込んではいけないということです。今でも世界のどこかで罪のない一般市民が紛争などに巻き込まれているというのが事実です。そしてまた、戦争で亡くなった方がつないでくれたこの世界なのに、まだ戦争を起こそうとしている一部の大人たちのことが、私は本当に憎いです。自国の発展の最短ルートは戦争に勝つことだからといって、どんな形でも戦争をもう起こしてはいけないと思います。どんなときも命が一番大切です。戦争を起こせば、得られるものより失うものの方が多いです。それを後世に伝えていくのが私たちの役目だと思います。そのためにも過去を知り、また自分自身を見直すべきだと思います。  小学生の頃に、「学校にミサイルが落ちてそのままなくなればいいのに」と言っていた人がいたことを思い出しました。これはたとえネタとして冗談であっても口に出してはいけないことです。今でもこのようなことを軽く思っている人がいるのならば、しっかりと自分自身を見直してほしいです。  これからの未来は私たちが創り上げていかなければなりません。だからこそ、これからの自分たちがどうあるべきか、どのように変えていくべきかを今、考えるべきではないでしょうか。 ---------- ポスター作品 田原小学校1年(当時)よしだ さとる 八千種小学校2年(当時)まえだ ゆき 福崎東中学校2年(当時)ふじわら みあつ 福崎小学校3年(当時)にのみや はるか ---------- 人権標語 一人一人 思いやる気持ち 忘れずに 田原小学校6年(当時)きりづき はるま たいせつにしたい あなたやわたし みんなのえがお 高岡小学校2年(当時)たけもとめい 向けないで 言葉のナイフ 深い傷 福崎東中学校2年(当時)しらい ゆずは 考えて 相手の気持ち その言葉 深い傷 福崎西中学校3年(当時)みやうち らいな