広報ふくさき 令和5年(2023年)3月号 13ページ ---------- 福崎町文化財だより(83) 1ページ目 ---------- 令和4年度 記念館調査活動報告  柳田國男・松岡家記念館では、令和4年度秋季企画展「柳田國男の先祖、の話」を開催しました。本展の開催のため、本年度は福崎町外での調査活動を例年より多めに行いました。企画展ではご紹介できなかった調査活動の様子をお伝えします。 おしば家墓所調査  4月28日(木曜日)には、柳田國男の母方の先祖となる尾芝家の墓地を調査しました。尾芝家は、現加西市北条町付近で医業を営む家系でしたが、井上通泰が知人や弟子の伝手を使い尾芝家に連なる人物の墓所を探し求めていたところ、國男からあっさりと聞き出せて拍子抜けしたというエピソードもあり、あまり知られていない松岡家の史跡のひとつです。加西市の歴史研究家喜谷氏、三枝氏にご案内いただき、墓石の拓本取りや写真撮影などを行いました。 まつぐ とうあん 墓石調査  5月24日(火曜日)には朝来市生野町の本行寺に残る真継陶庵の墓石の調査へ行きました。國男の著書『北国紀行』では、ここを訪れた際の國男の心境が率直に綴られています。また、國男から かなえ に送られた葉書のなかにも、墓を訪れたことを報告したものが残されています。 布川・布佐現地調査  7月3日(日曜日)から4日(月曜日)にかけては、國男の第二の故郷である茨城県北相馬郡利根町と千葉県我孫子市布佐町で調査を行いました。  《松岡 こつる 肖像画》を始めとする小鶴の貴重な資料をお借りするとともに、利根町では、國男が神秘的な体験をした小川家の祠や土蔵を保存した「柳田國男公苑」や、その中に祀られていた珠が展示されている利根町歴史民俗資料館を見学しました。加えて、同町の徳満寺に残された、少年期の柳田國男に大きな衝撃を与えたと伝わる「間引き絵馬」を見学しました。  また我孫子市では、松岡鼎が創立した「布佐文庫」の蔵書が、現在も市立図書館に保存されていることを確認し、勝蔵院の松岡家墓所と、隣接する竹内神社内に残された石碑を調査しました。また、利根川初の人道橋として鼎が完成に尽力し、通泰が名付けたと伝わる「栄橋」を訪ねました。 ごしんいん 松岡家墓所調査  神積寺悟真院の松岡家墓所には現在、先祖 松岡 まつのすけ から國男の三人の夭逝した兄たちまでの7基の墓石が残されており、7月27日(水曜日)に現地の撮影と墓地見取図の作成を行いました。  令和5年度には、松岡 みさお・たけ夫妻についての展示を企画しています。情報がありましたら、記念館(電話22・1000)までお寄せください。 写真=きくがや墓地(加西市北条町) 写真=柳田國男公苑(北相馬郡利根町) 写真=とくまんじの「間引き絵馬」 写真=栄橋は現在、近代的な橋に架け替えられています。 写真=松岡家墓所のようす