広報ふくさき 令和3年(2021年)4月号 6ページ ---------- ヒューマンライツ イン 福崎町 ---------- 「LGBTと生きる虹色の社会」 福崎東中学校2年(当時)上杉このみ。 みなさんは、「LGBT」という言葉を知っていますか。テレビなどで聞いたことはあるけれど、あまりよく知らないという人も多いのではないでしょうか。LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取った言葉です。体と心の性別が一致しない人など、自分の性別に違和感を覚える人がLGBTにあてはまります。 今、日本でのLGBTの人の割合は、左利きの人や血液型がAB型の人の割合とほぼ同じであると言われています。このように考えてみると、LGBTの人の数は意外と多いことが分かりますが、ほとんどの人が社会での生きづらさを感じたり、悩みを抱えたりしているそうです。 私がこの作文を書くきっかけになったのは、テレビで性別についてのある衝撃的なニュースを見た事でした。それは、心は女性、体は男性だったAさんという人が経験したいじめの話でした。AさんはLGBTのT、トランスジェンダーにあてはまります。長年、自分の性別に不自由さを感じ、決死の覚悟で体を女性に変える手術を受けました。しかし、職場での性別は「女性」と公表しているのに、上司や会社の人からは「元男性」という扱いを受け、いじめられたといいます。「本当に女なのか怪しい」「気持ち悪い」などと悪口を言われ、他の人と同じように仕事を与えてもらえなかったそうです。私はこのニュースを見た時、もし自分がAさんのような立場だったらどんな気持ちになるだろうと思いました。「どうして過去のことでいじめられなきゃいけないのだろう。」と腹が立つのと同時に、「性別が違うということはおかしいことなのかな。」と悲しくなります。また、そのニュースでは「LGBTの人が職場にいたらどう思うか」というアンケートの回答も紹介されていました。「他の人と同じように接する」などの肯定的な意見もある一方、「同じ空間にいるだけで寒気がする」といった否定的な意見もありました。中には、「どう接したらいいか分からない」という戸惑いと不安の声もありました。私はこれらの回答から、LGBTの人が生きづらさを感じているのは、周りの 人々や社会全体がLGBTについて十分に理解されていなかったり、「性別は男性か女性のどちらかしかない」というイメー ジが強く根付いていたりするからではないのかと思いました。 LGBTの人に対して、多くの人は「特殊な人」「他とは異なる性質の人」という印象があるのかもしれません。しかし、「性はグラデーション」という言葉があるように、男性なのか女性なのか、それともどちらでもないのかというのはとても分かりにくいことだと思います。新しい言葉で、「LGBTQ」という言葉があります。このQというのは、クエスチョニングという言葉の頭文字で、自分の性別を決めない人のことをいいます。そんな人たちにとって、性別をきっぱりと分けて生活しなければならないのはとても苦しく、生きづらいことではないかと思います。 私は、「LGBTQだから就職ができなかった」「LGBTQだから社会保障を受けられなくなった」といった差別的な考えは、社会から取り除くべきだと思います。LGBTQの人でも芸能界で活躍したり、世界中の人々の生活を支える仕事をしていたりする人はたくさんいます。LGBTQであることは特別なことではないし、今ではあって当たり前なことだと思います。 ところで、LGBTQの人であっても自分らしく生きていけるために、私たちができることは何でしょうか。まずは、差別意識やLGBTQの人を傷つけるような言葉や行為などの人権侵害をなくすことだと思います。とても小さな一歩ですが、それがたくさんの人たちに広がっていくことで、LGBTQの人やその家族が安心して暮らせる大きな夢となるのではないでしょうか。そして、LGBTQの人が自分の性別にコンプレックスを抱かなくなれば、より多くの人が自分らしく自由に生きる社会になっていくと思います。 もし、あなたの周りに自分の性別について悩んでいる人がいたら、それを受け止めてゆっくりと話を聞いてあげてください。自分の気持ちに寄り添ってくれる人が近くに一人でもいれば、きっとLGBTQの人も心強いと思います。相手を思いやる気持ちがあれば、LGBTQの人とも良好な人間関係を築いていけると思います。 LGBTQの人もそうでない人も、それぞれが自分らしい色に輝き、それらが重ね合わさって大きな虹になる。そんな多様な個性が認め合える世界になればいいなと思います。 --------- ポスター作品 福崎小学校4年(当時)わかはた あび。 田原小学校5年(当時)みの しおり。 福崎東中学校1年(当時)やまもと なな。 福崎西中学校2年(当時)なかもと みずき。 ---------- 人権標語 大丈夫 たよっていいよ 仲間だよ 福崎小学校5年(当時)おぐに かな。 みんながね 笑顔になるよ 「ありがとう。」 田原小学校6年(当時)うしお ここね。 なかまはずれ それってほんとに 楽しいの? 八千種小学校3年(当時)ふじもと なつみ。 心のドア 開くのは人 思いやり 福崎西中学校3年(当時)たかはし ちほ。