広報ふくさき 令和3年(2021年)11月号 12ページ ---------- 福崎町文化財だより(80) 2ページ目 ---------- 『みき つうしん ごさいこんいんぞうき』 再婚に際して通深自身が記したこの記録は、婚礼の準備や祝言の詳細、祝宴の献立など、婚儀の当日のようすについて詳しく記されています。  こうか4年12月13日、花嫁は夜半前に三木家へ到着しました。江戸時代の祝言は、一般的に夕方から夜半にかけて始まります。婚礼の儀式が終わると、舞、謡、小鼓を加えての賑やかな宴会です。祝宴は、季節のものを中心に集めたごちそうがふるまわれ、翌日の七ツ時(午前4時)まで盛大に行われました。  この式当日には、合計91人もの人が手伝いました。後日、この手伝いの人たちへのねぎらいの祝宴も行われています。 写真=『みき つうしん ごさいこんいんぞうき』 三木家に残る婚礼の道具 長柄銚子は、祝言の盃に神酒を注ぐ道具です。柳田國男の『故郷七十年』によると、銚子で三々九度のお酌をする役は、5歳の男の子・7歳の女の子が行い、男蝶・女蝶と呼ばれました。國男は 川で過ごした幼少期に、この役を2度務めています。このとき、男の子には箸で魚をつまみ「おさかなこれに」という口上がありました。 写真=右 ながえちょうし、左 ひさげ 昭和30年ころの福崎町域での婚礼でも、男蝶・女蝶の役があったようです。もしかしたら、子どものころに経験された方もおられるのではないでしょうか。 写真=島台(江戸時代後期) 展示では、通深の婚礼の記録を中心に、大庄屋三木家の婚礼のようすを紹介しています。また、今に伝わる婚礼衣装や道具など、三木家の華やかな資料を実際に見ることができます。  ぜひ、お越しください。 ---------- 三木家住宅特別展示“コラボ企画” 特別展示「三木家の婚礼」と「もちむぎのやかた」と「ファームズキッチン三木家」がコラボレーション!特別展示期間中、江戸時代の三木家婚礼の献立にちなんだ料理を2つのレストランで食べることができます。  ぜひ足をお運びください。 ※ファームズキッチン三木家は予約が必要です。(電話 0120−293−958) ---------- 伊勢大神楽公演中止のお知らせ 令和3年度の伊勢大神楽公演は、新型コロナウイルス感染症対策のため中止いたします。  公演を心待ちにしていただいた皆さまへ心よりお詫び申し上げますとともに、ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。 柳田國男・松岡家記念館