広報ふくさき 令和4年(2022年)3月号 15ページ ---------- 福崎町文化財だより(81) 1ページ目 ---------- 令和3年度 埋蔵文化財発掘調査速報  社会教育課文化財係では、町内の各種開発に伴い、埋蔵文化財調査を行っています。 令和3年度も引き続き、高岡福田地区ほ場整備事業によって埋蔵文化財が影響を受ける箇所について、記録のための本調査を行いました。また、住宅建築工事などに伴う調査で、新たに埋蔵文化財を発見するなどの成果がありました。 町内初の発見となる奈良時代のやきしお遺構か!?(桜地区)  令和3年6月から令和4年3月まで、高岡福田地区ほ場整備事業に伴う埋蔵文化財発掘調査を行いました。  桜地区では桜ひがしはた遺跡、桜遺跡、はやしたに遺跡を調査し、奈良時代のほったてはしらたてものなどの遺構を発見することができました。また、神谷地区では神谷ヤブノハナ遺跡、長野地区では長野すわ神社周辺遺跡、福田地区ではみやのまえ遺跡の調査を行いました。 桜ひがしはた遺跡  桜ひがしはた遺跡は、七種川左岸に立地する遺跡で、令和2年度の調査で町内で初めての発見となる奈良時代のあわせぐちかめかんが見つかった遺跡です。令和3年度は、その西隣の土地を調査しました。  調査の結果、ほったてはしらたてもの4棟などが見つかりました。  特徴的な遺構として、せいえんどきが多量に出土したしょうどこうがあります。この遺構は奈良時代のものと考えられます。当時、塩は沿岸部などの生産地でつくられたものが消費地に運ばれてきていると考えられていましたが、「やきしお」という工程が生産地以外でも行われていたことが明らかになりつつあります。桜ひがしはた遺跡で見つかったしょうどこうも、生産地以外で「やきしお」が行われていた可能性を示す遺構です。  塩づくりには3つの段階があります。最初の工程は、塩水を濃くする「さいかん」、次はそれを煮詰めて結晶となった塩を取り出す「せんごう」です。この段階で塩はニガリを有するので、べとべとになってしまいます。  そこで、水分をとばすための「やきしお」の工程が必要になります。この「やきしお」を行うことで良質な塩を作ることができるのです。  ここから出土したせいえんどきは、破片ですが、形がのこっているものが多く、どのような大きさの土器で塩をつくっていたのかがよく分かり、また、他地域のものと比較できる良好な資料です。 写真=桜ひがしはた遺跡 しょうどこう、桜ひがしはた遺跡から出土したせいえんどき