広報ふくさき 令和5年(2023年)10月号 10ページ ---------- ヒューマンライツ イン 福崎町 ---------- 無自覚な言葉 福崎西中学校2年(当時)とよくに しお  「日本語が上手ですね。」  「元々黒いから日焼けしなくていいね。」  これは日本に住むアフリカにルーツを持った人たちがよく言われる言葉です。普段の会話で何気なく口にする言葉ですが、中には言われた人は傷ついてしまったり、いじめに発展する場合もあります。このような発言や行動は「マイクロアグレッション(小さな攻撃性)」と言われ、海外では長く問題視されてきました。マイクロアグレッションとは、ジェンダーや人種差別、偏見に基づく発言や行動で、無自覚に相手を傷つけることを言います。発言した人は、悪意がないことが多く、相手を傷つけている自覚がないため、皆さんも無意識に相手を差別するような発言をしたことがあるのではないでしょうか。  マイクロアグレッションについてインターネットで調べていると、こんな体験の記事を目にしました。それは、日本で生まれ育ったアフリカのウガンダ共和国と日本のルーツを持つ高校生のM・Aさんの体験です。Mさんは中学校でバスケ部に入部すると、すぐに周囲から「スポーツがうまそう。」と声を掛けられ、チームの戦力として期待が寄せられました。しかし、なかなか上達せず逆にからかわれるようになりました。そして、いじめへとつながっていき、Mさんは不登校になってしまったそうです。高校に入るといじめはなくなりましたが、制服で立っているだけで職務質問を受けたり、いろんなところで出身国を聞かれたり、見た目だけで判断されていると感じることは続き、自分は何者なのか、という問いに苦しめられました。  「十七年間日本で育っているので見た目以外日本人なんです。それなのにどこに行っても外国人という決めつけで見られている感じがします。一人の人として接してもらいたい、それが一番の願いです。」 とMさんは話しています。  この体験談を見て、私も無意識の内に差別発言をしてしまったことがあるんじゃないかなと思い、自分の過去を振り返ってみました。小柄な人に対して、「意外と食べるんだね。」と言ってしまったり、女の子だからこういうものが好きと決めつけてしまったり、普段の生活や会話の中で、無意識に差別してしまっていることを知りました。もし、自分がこのような事を言われてしまったら嫌な思いをするだろうなということを考えてから発言しないといけないと思いました。  Mさんのように、偏見や固定概念にとらわれたことをきっかけに大きないじめに至ってしまうことは少なくないと思います。逆に、ほめ言葉や親切にしたつもりがマイクロアグレッションにつながっていることもあるんじゃないかなと感じました。マイクロアグレッションは、誰もが言われたり、言ってしまったりすることがあるし、悪意がないことが多いので、完全になくすことは不可能だと思います。でも、見た目や思い込みだけでなく相手の気持ちを考え、寄り添って話すことが差別をなくす第一歩になると思います。世界が平等で、誰もが住みやすい社会になる時代が来ることを心から願っています。 ---------- ポスター作品 田原小学校1年(当時)ふるた ゆうご 福崎小学校2年(当時)ただ さつき 高岡小学校3年(当時)おおすぎ ひなた 福崎東中学校2年(当時)ただ そうき ---------- 人権標語 あいさつは 人の心を 明るくする 田原小学校4年(当時)ひらしま みくと なかないで きみにはだれかが ついている 福崎小学校3年(当時)こばやし かずき ひとりじゃないよ 話してよ わたしもきっと 力になれるから 八千種小学校6年(当時)ふじもと りこ 君の声 小さな勇気 大きな希望 福崎東中学校2年(当時)ふじもと あおい