広報ふくさき 令和6年(2024年)7月号 25ページ ---------- 第四弾 遠野の産業  福崎町の友好都市、岩手県遠野市です。令和6年8月で福崎町との友好都市共同宣言から、10周年を迎えます。  誌面をお借りして、4月号から始まった全5回の連載です。今回は第四弾となります。 基幹産業は一次産業  遠野市は、冷涼な気候と豊かな自然環境を生かした農林畜産業を基幹産業とし、水稲(米)を中心に、野菜やホップ、花などの農産物と畜産を組み合わせた複合経営がされています。また、本州で有数の乗用馬生産地として知られています。 田畑を耕す農業  遠野市において、田畑を耕し、種や苗を植える耕種農業の基盤は米作りになります。ほとんどの市内の農家は、米を作っています。米作りと共に、野菜の生産や畜産を行っているのが一般的です。5月頃には、田植えのため市内の田に一斉に水が張られますが、たかしみず展望台から遠野盆地を望むと、「過去に遠野は湖だった」という伝説を再現したかのように、遠野の中心地が水に浮かんでいるように見えます。このように、いたる所で米が作られていますので、市民は、仮に自身が米を作っていなくとも、親戚が米を作っている場合が多く、米を買ったことが無いという人がたくさんいます。 写真=田植え時期の遠野盆地  米以外の遠野の特産作物としては、ホップとワサビが挙げられます。  全国で一番の栽培面積をほこるホップは、全量をキリンビール株式会社に納品しており、昭和38年の栽培開始から60年以上一貫して栽培してきました。ホップは、ビール製造の際、香りや味付け等に使用されています。毎年11月頃には、この遠野産ホップのみ使用して製造された「一番搾りとれたてホップ生ビール」が全国販売されています。この時期しか飲めない香り高いビールを味わってみてはいかがでしょうか。  また、市内ではみやもりちょうたっそべという地域で栽培されているワサビも特産品です。この地域は、石灰岩を多く含むカルスト地形の山を抱えており、この山が一年を通して、綺麗で良質な水を安定した水温で供給しています。この水がワサビ栽培には最高の環境をもたらしており、「宮守産ワサビ」は、高級食材となり、良品は東京の料亭等で使用されています。 写真=ワサビ 牛や馬等の畜産  遠野市の農業生産額のうち、肉用牛が大きな割合を占めています。肉用牛には、子牛を10か月になるまで育てる繁殖農家と、10か月まで成長した子牛をセリで購入して育てて出荷する肥育農家の二種類があります。市内には、どちらの農家もおり、良質な「遠野牛」の供給に努めています。子牛のセリは、血統や体型等の要素により価格が決まり、状態のいい子牛は、松阪牛等の有名な土地で肥育されることもあります。 写真=放牧される黒毛和牛  また、馬の生産にも力を入れています。馬の生産と言えば北海道が中心になりますが、遠野は本州で唯一乗用馬のセリが行われています。乗用馬とは、乗馬スクールや馬術大会で騎乗される馬のことです。南部藩の頃より馬文化が根付いていたことで、今でも馬の飼育が行われています。 写真=乗用馬市場の前日に開催される共励会 林業や木材産業  遠野市は、総面積の83パーセントを森林が占めており、岩手県内でも有数の林業地です。皆様のお手元に木材が届くまでには、山で伐採する業者、丸太を角材に加工する業者、工務店等の様々な業者が関わっています。これらの関連する11事業体を1か所に集約し、豊富な森林資源の地産地消を推進するため「遠野地域木材総合供給モデル基地」を整備しています。また、伐採後の植栽にも力を入れており、市民参加による植樹イベント「緑化祭」を毎年開催しています。 写真=遠野地域木材総合供給モデル基地  今月は遠野の産業をご紹介しました。最終回となる次号は、福崎と遠野の児童交流をご紹介いたします。 (遠野市役所観光交流課)