広報ふくさき 令和7年(2025年)7月号 8ページ ---------- ヒューマンライツ イン 福崎町 受け継ぐ思い 福崎東中学校2年(当時) にしい りょうと  みなさんは戦争と紛争の違いを知っていますか?紛争は戦争より規模は小さそうに感じませんか。  紛争とは、経済、宗教、文化、民族、集団心理や環境などの違いから起こる、ニ者以上の争いのことです。その中でも、国家間で武力行使を行う争いが「戦争」なのです。つまり、紛争は戦争と変わりなく、人々に恐怖を与え、日常生活を奪うものなのです。紛争と聞いてぼくがすぐに思い浮かべるのは、やはり今も続いているロシアのウクライナ侵攻です。最近テレビであまり見なくなっていたので、ぼくはもう終わっているものだと勝手に思っていました。この争いは、二〇二二年ニ月四日にロシアがウクライナに侵略することで始まりました。ぼくはとても驚きました。なんともう二年も続いているのです。今ウクライナの人々はどんな思いで、どんな状況で生活を送っているのか、考えただけで胸が痛みます。それと同時に、普通に生活を送れているぼくは、なんて幸せで平和なのだろうと思うのです。  ぼくはこのことをきっかけに、今紛争をしている国や地域を調べてみました。ウクライナ侵攻、アフガニスタン紛争、クルド・トルコ紛争、シリア内戦、イエメン内戦、ミャンマー内戦と、簡単に調べただけでも、大きなものが六つもありました。  なぜこんなにも争いが続くのか。その理由はいくつもありますが、その中で例として二つを挙げたいと思います。  一つ目は「資源」をめぐる争いです。金やダイヤモンド、石油などの鉱産資源がある国々で、その資源をめぐって争いが起こります。  ニつ目は「宗教」をめぐる争いです。信じる宗教の異なる人たちが、その考え方の違いにより争いを起こします。他にも、民族や政治、領土など、原因は様々あります。たくさんの理由と比例するかのように、たくさんの戦争や紛争が起こるのです。  ぼくは戦争を経験したことはなく、歴史の授業で知る程度のことしか分かりません。しかし最近、ぼくのひいおじいちゃんは実際の戦争経験者だということを知りました。おじいちゃんによると、ひいおじいちゃんは結婚直後、シベリア抑留で捕虜として今のロシアに行かされていたようです。シベリア抑留とは、第二次世界大戦の終戦後、日本人が労働力として連行され、長期にわたる奴隷的強制労働をさせられたものだそうです。ひいおじいちゃんは軍曹というみんなをまとめる立場でした。銃弾が一発、足に当たったこともあったそうです。数年の間連絡もなく、ひいおじいちゃんが生きていることすら分からないまま過ごしていたある日、舞鶴に帰ってくるとの知らせを受け、家族で迎えに行きました。帰ってきたひいおじいちゃんはやせ細っていたそうです。そこでの生活はとても大変だったことは想像できます。しかし、ひいおじいちゃんは捕虜としての生活について、家族に多くを語ることはなかったそうです。その後、ひいおじちゃんは中学校の先生になり三人の父親となって、孫に囲まれ穏やかな生活を送ったそうです。  ぼくは、ひいおじいちゃんが抑留されていたときのことを家族に語らなかったのは、子どもたちにあえて伝えたくなかったのだと思います。戦争がどれだけ辛くて、どれだけひどいものなのかを知らない、平和な世界を子どもたちに過ごしてほしいと思っていたのではないでしょうか。  ぼくのひいおじいちゃんが経験した戦争は教科書では数行で終わる程度のできごとです。しかし、人々に苦しみや悲しみを与える大きなできごとなのです。今も世界ではたくさんの紛争、戦争が起こっています。ぼくはこの「戦争」という名の恐ろしいものが、この世界からなくなることを願います。ひいおじいちゃんの思いを受け継いで。 --------- ポスター作品 福崎小学校3年(当時)ごのお えいすけ 田原小学校3年(当時)ひより かなめ 八千種小学校2年(当時)やまもと せいま 福崎西中学校2年(当時)みやした りんこ ---------- 人権標語 やさしいね こんどはぼくが たすけるね  福崎小学校2年(当時)あだち そうた その言葉 相手のことを 思ってる? 田原小学校6年(当時)いぐち たくと 「それだけ」が 相手にとっては 深い傷  福崎西中学校1年(当時)くすだ ゆい その言葉 相手は本当に うれしいの? 福崎東中学校3年(当時)たけうち ここな