貞のアルバムにも吉識家の先祖のことが記されており、雅夫自身も著書『運鈍根』の中でも「父、母の思い出、先祖のこと」ついても記しています。
吉識家は代々村の庄屋であったことを父から聞いているが、正確なことは何もわからないとしています。
系図もあったが不幸にしてなくなってしまったこと、父親が過去帳等から8代前までさかのぼって調べたことなど、貞のアルバムに収められている記述と符号します。
雅夫は父を軍人でありながらも子煩悩なところがある点、人として大切な心がけを教えられたことも思い出として記しています。
母クニは、明石の古い酒造家の末娘であり、雅夫の満10歳の時に死亡したこと。そのときのことを弟の様子や自分が学校から呼び戻されたこと等に触れながら、義母については、母とほとんど違い存在であり、
「人間としての心の持ち方、生活の躾など教えられたことが多く、感謝している。」
と振り返っています。